洗脳/愛のキャラバン・大阪死闘編


男女素敵化計画へ向けて。印象深い夜のこと。

 今まで三度行っている宮台真司さんとの新宿ロフトプラスワンでのイベントが大阪で開催されることになった。

 「男女素敵化計画」という名前がついているが、僕にはまだ素敵とは何かということは分かっていない。
 引きこもりからナンパを始め、今はホストをしているルソー君。彼は泥にまみれて、泥水を飲み続けた。彼はネット上でツイートをする度に自らを経験豊富だと疑わない大人たちに絡まれて、それらに対して「はい。」「そうですか。」「○○さんにそう言ってもらえると嬉しいです。」と嘲笑的に対応し続けた。
 そういうやりとりを見ていると、年齢や経験などに一体どんな意味があるのだろうということを考えさせられる。

 人間の美しさとは何だろうかということを思う。それは時間や経験によって磨かれていくものというよりは、はじめからそこにあるようなものであるように思う。初めて会ったときの何も出来ないルソー君の中にその美しさはあった。
 また、美しさを持っていたように思われた人も時間とともにそれを失っていくということもある。

 僕は自分にもそういう美しさのようなものがあると思っている。それをどう害わずに大切に育んでいけるかということが生きている中での最大の関心事でもある。同じことを繰り返しているとそれは簡単に害われる。だから、周りの大切な人が同じことを繰り返しているとすぐに注意する。注意しても同じことを繰り返して、美しさが消えていくこともある。多分、自分がそうなることが怖いから、他人にも注意してしまうのだと思う。

 第一回目の「愛の授業」のとき、僕は泥水を飲み続けている真っ最中だった。ナンパなんてやめたいと泣きながら女の子に話しながらもナンパをするという客観的に見たらどう考えてもおかしい状況にあった。一言でいえば、セックス依存症である。
 最近、泥水を飲んでいない。付き合う人も少ない。美しいと思う人としかなるべく会わないようにし、見ないようにもしている。たまに、泥水を無性に飲みたくなったりもする。気が狂ったようなコミュニケーションをとって、醜い姿を露わにして、無茶苦茶に対象に熱をぶつけて、最高の自己嫌悪を味わいたいと思うこともあるが、そうしていない。それが今の自分にとって良いものかどうか、少し疑問を持ったりもするが、すすんでやりたいとは思わないのでしなくて良いのかなと思っている。

 泥水飲みの代わりなのか、自分の身体のことを知り、稽古をすることに集中していた。人間の身体は複雑で、自分の思い通りにはなかなか動かない。それをじっくりと稽古をしながら、少しずつ自分のものにしていく。それをやり始めたのも、江坂さん、葉坂さんと知り合ったことがきっかけで、そして決定的だったのが、平均化訓練の野口晴胤さんを見てしまったことだった。美し過ぎて怖かった。初めて触れたときには恐怖で身体が震えてしまった。それから、稽古の日々が始まった。去年の十一月はじめが四回にわたる講座の一回目だったから、まだ半年も経っていない。
 自分や他人の、様々な感情、思い、緊張、欲望、記憶を自分の背骨、身体の中心部で回収していく作業が続いた。こんな世界があったのか、自分の心身はこんな在り方をしていたのかという驚きとともに毎日を過ごした。

 僕はこのコースの二回目の帰り道、号泣をしている。何がそうさせたのかははっきりとは分からない。しかし、その頃、晴胤さんに胸の辺りによく手を当ててもらっていた。今から思うと、その胸の辺りの奥深くに固いかたまりがあった。手を触れられると、それがすっと溶けていった。帰る途中、家の最寄り駅に着いて歩いているとそれは始まった。涙と声にならない声が胸の辺りから溢れてくるようだった。それらが身体から安易に漏れてしまうことが勿体なくてぐっと身体全身で味わうようにした。十五分ほどだったかもしれない。その溢れてくるものは止まらなかった。その中で走馬灯のように、様々な記憶が浮かび上がってくる。トラウマセラピーでは、肉に記憶が宿っていると言われている。自分の胸の辺り奥深くの硬直が緩んで、そこから記憶が溢れ出てくるような感じだった。

 このイベントの中で僕は特別に話したいことはない。あったのは第一回目だけだった。一回目は宮台さんに十分に話を聞いて頂いた。今回は話すべき人が話せるようにしたいと、打ち合わせで提案させてもらった。そのために出来ることをさせてもらいたいと思う。
 僕は人に話すよりも、自分の中でそれらを回収していくことに関心がある。他人とは、自分では回収出来ない自分を回収させる対象ではないだろうか。自分を抑えることなく、他人に自分を回収させていく。それは洗脳でもある。一方で、自分を抑えることなく、自分に自分を回収させていくことも出来る。そういうことは自分を抑えて他人に自分を回収させることも出来ない臆病者には出来ないことであるようにも思う。ルソー君はどれだけ他人を洗脳出来るのだろう。今までのイベント、二回目、三回目には一回目のような洗脳空間みたいなのは現れなかった。今回はそういうものが会場の中に現れるのを期待している。それはある人にとってはキラキラとしたものでもあり、ある人にとっては吐き気を催すものでもあるかもしれない。

4月12日 宮台真司・男女素敵化計画第四弾/愛のキャラバン・大阪死闘編

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